
グランカナル(大運河)
庭園にも見どころがたくさんあるが、時間的にも、体力的にも、全てを見学するのは無理だろうと判断した。そこで私は、まず大運河まで行ってしまって、水辺でしばらくゆっくりしてから、プチトリアノンへ見学に行き、その後は宮殿に戻ることにした。
ガタゴトとプチトランで進む。プチトランの速度は決して速いとはいえないが、風景を見ながら進むには、これくらいがちょうど良いのかもしれない。
グランカナルで降りて、しばらく周辺を散策した。豪華絢爛な宮殿内の見学とは、また違った魅力がある。
そもそも誰がヴェルサイユ宮殿を造ったかというと、ルイ14世である。王は、工事現場に現れ、直接指示を出すことも度々あったという。建設は、宮殿よりも庭園の方がはるかに労力がかかっているそうだ。
豊かな自然の中で心地よい開放感を感じるが、しかし、どこに立っても、きれいに区切られた枠の中に入り込んだような、何か奇妙な感覚にとらわれる。
考えてみれば、それは当然のことなのかもしれない。
規模が大きいので、つい忘れそうになるが、これは地球に もともと存在した自然の風景ではなく、人工的に造られた風景なのだ。
どこかに境界があるはずなのだが、どこまでが人工的に作られた部分で、どこからが本来の自然なのか見定めることはできなかった。庭園はあまりに広い。その境界は見えないほど遠くだったのかもしれない。
この広大な庭で過ごす時、私たちは一瞬「素晴らしい自然」に感動するが、実はそれは、素晴らしい自然のようなものを造リ上げた技術や労力や構想に感動しているということになると思う。

大運河には、貸しボートがあった。でも、乗っている人は誰もいなかった。

代わりといってはなんだが、白鳥さんたちがたくさんいて、水辺を賑やかにしていた。
これ以後、サン・サーンスが頭の中をぐるぐる♪

全長35kmという大運河。要所ごとに現れる大がかりな噴水。
ヴェルサイユ周辺には
水の源がなく、約10km離れたセーヌ川から水を引いている。豊かな水辺に鳥は集い、
人々は心を和ませるが、それは水なき地に水を引いた結果、もたらされた恵みなのだ。
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