
クロード・モネ「日傘の女」
直射日光がじりじりと照りつける日本の夏。アスファルトが焼けるように暑いので せめて日陰に入りたいという思いと、日焼けによる害が繰り返し意識に刷り込まれているせいで「日傘」を夏の必需品とする女性は、日本では珍しくありません。
一方パリでは、真夏でも日傘をさす人を見かけることは滅多にありません。ヨーロッパの夏は短く、太陽の光が降り注ぐ明るい季節は、私たち日本人が想像する以上に、フランス人にとっては貴重な期間であるようです。せっかく現れてくれた太陽を忌み嫌うような「日傘を差す」という行為は、理解できないことなのかもしれません。そんなことを考えながら、「郷に入りては」の言葉どおり、パリ滞在中は私も日傘なしで歩き回るのですが、パリにも日傘の愛用者がいることを思い出しました。
クロード・モネ「日傘の女」
モネが描いた 日傘をさす女性の絵は、3枚あるとされています。3枚のうち、後方に息子ジャンも描かれているこの作品は、パリでは見ることができません。
所蔵されているのは、ワシントン・ナショナル・ギャラリー。愛する妻カミーユをモデルに描かれました。
オルセー美術館所蔵の同じくモネの描いた「ひなげし」でも、カミーユは日傘をさしています。彼女は日常的に日傘を使っていたのでしょうか。

残りの2枚は、オルセ−美術館にあります。
こちらは、若くして亡くなったカミーユの死後6年経ってから描かれました。この時は、義理の娘(再婚相手の子)がモデルをつとめたのですが、カミーユの面影を追っていたモネは、モデルの顔を描くことができませんでした。逆光と風で顔はよく見えない、という感じに描かれています。
「この頃のモネは、人物も風景の一部としてとらえていたから詳細に表情を描いていないのだ。」とする説もあります。しかし、モデルの腰にある、カミーユへの思いを表すかのような「ひなげし」のコサージュを見ると、やはり描かなかったというよりは、描けなかったのだろうと思います。
これ以後、モネは人物画をほとんど描いていません。人物画のルノワールに対して風景画のモネ、などど比較して言われたりしますが、モネが風景画を中心に制作したことには、単なる得手不得手や技術的な要因よりも 気持ちの問題が大きかったのではないかという気がします。
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眩しい日射しの中。風に吹かれて日傘をさす女。
モネにまつわるエピソードを紐解くとき、いつも最後には切ない気持ちにさせられてしまうのです。
(Essai de figure en plein air, dit Femme à l'ombrelle toumée vers la droite)
左向きの日傘の女 クロード・モネ作
1886年 131×88cm 油彩 | オルセー美術館所蔵
(Essai de figure en plein air, dit Femme à l'ombrelle toumée vers la gauche)
右向きの日傘の女 クロード・モネ作
1886年 131×88cm 油彩 オルセー美術館所蔵
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