
ギュスターヴ・モロー「妖精とグリフォン」
ギュスターヴ・モロー美術館では、他の美術館で見かけるような、ガイドさんに連れられた団体客を見かけません。モローの絵は、広く万人受けする作風ではないということなのでしょう。
その代わり、一旦好きになった人を どこまでも 夢中にさせてしまうような磁力を秘めていると思います。 絵の前に立った人は、なかなか動かず、皆しばらく同じ絵をじっと眺めているのです。
シュルレアリストの代表格、アンドレ・ブルトンもモローの絵に魅せられた一人でした。ブルトンは、この作品「妖精とグリフォン」が大層お気に入りだったそうです。
「モロー美術館で、女性の様々な顔やポーズを通して、私は美と愛の天啓を得た・・・私はいつも夜ここに侵入して闇の中に潜むグリフォンの妖精に明かりを照らし、驚かせることを夢みていた。」
若い裸の女性が、キャンバスを斜めに占めています。花の冠をかぶったこの女性は妖精で、洞穴の入り口で訳有り気に座っています。 豪華な装飾のある柱には、羽のついた壺が上部に置いてあります。妖精の横にいる変わった動物が「グリフォン」です。グリフォンは、鷲の頭と羽にライオンの身体を持つ半鷲・半獅子の幻獣で、この可憐な妖精を守っているのです。
美術館の窓際で、妖精は微笑んでいます。「夜になったらこの窓を破って妖精に会いに来たい。」と思ったというブルトン。冷静に考えると、それはちょっと夢中になり過ぎではないかと思うのですが、美術館でこの絵の前にいた時は、分かるよその気持ち!と私はブルトンに心から同意していました。夜にはまた違って見えるような気がしたからなのですが、私も少し夢中になり過ぎかもしれません。
「妖精とグリフォン」 1876年頃
212×120cm 油彩 ギュスターヴ・モロー美術館所蔵
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