
ルノワール「ムーラン・ドゥ・ラ・ギャレット」
ルノアールは、印象派の巨匠です。フランスを代表する画家、と言ってしまっても 言い過ぎではないでしょう。
ルノワールは生涯を通して、自分の絵を見る人に楽しい気分になってもらいたい、という主旨の発言を繰り返しました。「風景ならその中に入ってみたくなるような、女性なら抱き締めたくなるような、そんな絵を描きたい。」「絵画には、憎しみも、悲しみも、醜いことなど一つとして必要ない。」
例えば、この絵「ム−ラン・ド・ラ・ギャレット」。
現在この作品は、オルセー美術館の最上階、光のたくさん差し込む明るい部屋に展示されています。
作品の舞台になっているのは、当時のパリ、モンマルトルの丘にあったカフェ「ムーラン・ドゥ・ラ・ギャレット」。木漏れ日の下。音楽が流れ、人々は踊り、笑い、歌う。
なるほど、言葉通り見る者に微笑みをもたらす絵です。ルノワールは印象派の中では、人物をよく描いている画家ですが、例えば過酷な労働をする農民のような、つらい絵は描いていません。あくまでも明るく、楽しく、という気持ちが作品制作に対する意識の根底に流れていたようです。
近代的で都会的なものを好んで描いたのは、ルノアールだけでなくこの時期の画家全般に共通する傾向ですが、マネはいくぶん挑戦的だし、モネはやや感傷的、ドガは個人の趣味に走り過ぎ。「明るく、楽しい」という形容詞が一番ぴったりあてはまるのは、やはりルノアールだと思います。本人がそのつもりで描いていたのですから、当然といえば、当然かもしれません。
「ムーラン・ドゥ・ラ・ギャレット」ピエール・オーギュスト・ルノワール作
(Bal du Moulin de la Galette) 1876年
131×175cm 油彩 オルセー美術館所蔵
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