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作者不詳 「貴婦人と一角獣」


licorne2中世美術館の所蔵作品の中で、目玉と言えるのは、この作品でしょう。制作年・場所は、15世紀末にフランドル地方で織られたものと考えられていますが、詳しいことは分かっていません。

写真では分かりにくいかもしれませんが、これはタピスリー(織物)です。全部で6張のタピスリーから成るこの作品は、館内の他の作品とは別格扱いで、専用の部屋が設けられています。作品保護のために、照度をぎりぎりまで落とした薄暗い円形の部屋。真ん中にいくつかベンチがあって、座って鑑賞できるようになっています。

6つの作品には、貴婦人と、その横にユニコーンとライオンが描かれています。 そのうちの5つはそれぞれ、「視覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」「触覚」を表していると言われています。

ユニコーンが貴婦人の手鏡を覗き込んでいるのが「視覚」でしょう。楽器が描かれているのは「聴覚」に違いありません。フルーツのようなものを皿から取っているのが「味覚」。貴婦人が編んだ花の輪を持っているのが「嗅覚」。貴婦人がユニコーンの角に手を添えているのは「触覚」でしょうか。

それぞれ背景には、猿やうさぎ、木々が描かれています。細かく見ていくと、飽きることがなく何分でも眺めていられます。とても古いものなのだが、現代に生きる私たちが見ても、全く古さを感じさせないデザインだと思います。

感覚を表す5枚が並んで展示されていて、あとの残り一枚だけは反対側の壁にかかっています。この最後の一枚が何を表すかは、諸説あってはっきりしないそうです。ほかの5枚とは明らかに、絵の構成から異なっています。

licorne1貴婦人が宝石箱を持っていることから、「欲望」を表すのではないか、とする説。
五感の次にくるもの、つまり「第六感」を表すのではないか、とする説。
後ろの青いテントに描かれた「我が唯一の望みに」という文言から、「愛」や「理解」などを描いているのはないか、という説。
ユニコーンの角が男性の象徴であり、ユニコーンに近づけるのは処女だけという言い伝えがあることから、「処女性」あるいは「結婚」を意味しているのはないか、という説。どの説も興味深く感じます。

そして、結局のところはっきりとは分かっていない、という謎めいたところが最も魅力的だと思うのです。

 

このユニコーンの作品は、ギュスターヴ・モローのお気に入りであったことでも知られています。


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